「連帯保証人には絶対なるな」と言われることがよくあります。何となくこわいイメージはありますが、どんな責務が生じるのでしょう。
保証人と連帯保証人の違いを見ながら、考えられるリスクをまとめてみました。あわせて、連帯保証人を依頼されたときの上手な断り方を紹介します。
自分が作ったわけではない借金で苦しむほど、ストレスがかかることはありません。いざ保証人を頼まれたときに悩まないよう、ご一読頂ければと思います。
知らないとこわい!保証人と連帯保証人の違いとは
言葉の響きは似ていても、保証人と連帯保証人では大きく異なる点が3つあります。安易に引き受ける前に、違いを理解しておきましょう。
1.催告の抗弁ができない
借金をした本人に返済能力があるにも関わらず、お金を返さないでいたとします。保証人の場合は「まず本人に請求すべきだ」と主張することが可能です。
この反論をする権利のことを「催告の抗弁」と呼んでいます。連帯保証人になると、いきなり自分のところに請求がきても拒むことができません。主たる債務者と同程度の責任を負う者として、返済に応じる義務が生じます。
2.検索の抗弁ができない
主たる債務者に現金はなかったとしても、不動産や高級調度品を持っていたとします。保証人の場合は、その人が資産を持っていることを主張して、まずはそこの強制執行をするよう促すことができます。
資産を確認するよう主張することは「検索の抗弁」と呼ばれます。連帯保証人になると、検索の抗弁をすることができません。本人が資産を隠し持っているような状況にあっても、請求があれば返済に応じる責務が生じます。
3.全額に対して責任を負う
保証人を複数人たてている場合、貸し倒れが起きたときには人数で頭割りした金額が自分にのしかかってくる覚悟をします。
3,000万円借りるために保証人を3人というケースなら、最大で1,000万円を肩代わりしなければいけないリスクがあるということです。
連帯保証人になると、全額に対して責任を追います。3,000万円の借金なら3,000万円肩代わりする事態も覚悟するということです。
連帯保証人は自分が借金をするのとほぼ同じ
「保証人になってほしい」と頼まれたとき、大抵は連帯保証人のことを指します。連帯保証人になったということは、自分が借金を抱えたのと同じです。
借金をした人がうまく立ち行かなくなると、自分が支払いをする必要があります。親戚関係ならまだ救いがありますが、友人が起業するにあたって依頼があることも考えられます。
どんなに信用できる相手であっても、すぐに良い返事を出すのは考えものです。その人のために自分の人生が無駄になってしまうリスクまで考慮して、納得した結論を出す必要があります。
「この人が私を裏切るはずがない」などと情に流された末に保証人になると、借金の返済が終わるまで生きた心地がしないこともあります。知人の会社の状況をリアルタイムに把握できるわけではありません。
無謀な経営をした末に借金を繰り返す状況に陥っていても、注意喚起をする機会はないということです。連帯保証人を外れるなどと言い出さないよう、苦しい経営状況をひた隠しにすることも考えられます。
最終的にどうにもならなくなった時、金融機関から連絡が来てはじめてことの深刻さに気付くことでしょう。
判を一つ押すだけと簡単に考えていると、人生を破滅させる事態になりかねません。自己破産にまで陥ると、あなたの家族も道連れです。連帯保証人になる決断は自分一人の問題ではないと考え、慎重な判断をしてください。
連帯保証人を頼まれた時はこう断る!相手が納得する返事の仕方
最後に、連帯保証人を断るときに角がたたない言い訳例を紹介します。まず、先祖からの遺言を理由にすること。「おばあちゃんが亡くなるときにきつく言われた」などと言われると、それ以上追求できなくなります。
ねばったところで、先祖からの考えを覆すことができる理由は見つかりません。何度同じ話しをされても「遺言に逆らうことはできない」の一点張りで臨みましょう。
次に、義理の父母との約束です。「奥さんと結婚するに際して、連帯保証人は受けないよう言われている」などの言い方が考えられます。本当に親しい友人であれば、夫婦関係を気遣ってくれるはず。ここで無理強いしてくるような相手とは、少し距離をおいて付き合うことも検討しましょう。
自分のプライドが許すようなら「もうすでにいくつか保証人になっているから難しい」「恥ずかしい話だが自分にはブラック履歴がある」など、受けたい気持ちはあるが難しい状況を伝えるのも一つの手です。
債権を保証するだけの信用力がない以上、他を検討してほしいとの意向を伝えればことが丸く収まります。
他、宗教上の理由を持ち出して断ることも有効です。宗教に関して深く聞いてくる人は少ないので、話しがそこで完結します。
何度も頭を下げてくる相手に対して、はっきりと「ノー」と言うのは気がひけます。上手な言い訳を考えて、なるべくことが荒立たないようにおさめるのが大人です。保証人を受けたくないのに無理に受ける必要はありません。「頼まれたらこう断る」とのお決まりパターンを用意しておくといいでしょう。
保証人より連帯保証人がよりこわいというお話をしてきましたが、単なる保証人でもそれなりのリスクがあります。お金に関してクリアな関係を保ちたいと思うなら、どちらも引き受けないでやり過ごしましょう。
会社の経営に慣れている人だと、軽い気持ちで依頼してくることもあります。その人にとっては「借金なんてたいしたことはない」と思っていても、サラリーマンの方達にとっては、大きなストレスがかかる内容です。
どんなに親しい間柄でも、お金についてはシビアになること。自分は関わりたくないという気持ちが強いようなら、心を強く持ちはっきりと意思表示をしてください。