みなし弁済・みなし利息とは?


みなし弁済・みなし利息とは?
グレーゾーン金利の過払い請求を自分で行おうとするときに「みなし弁済に該当するため返せない」と言われるケースがあります。法律をもとにした決まりを抗弁してくるため、泣き寝入りしてしまう消費者もいるのが実際です。

払いすぎたお金を返してもらうことは、消費者としての権利です。正しい知識を持ち、貸し金業者の言いなりにならないようにしてくだい。


 

グレーゾーンが合法になる?みなし弁済の基礎知識

みなし弁済とは、旧貸金業法で定められていた利息に関する決まりです。5つの条件を満たしていれば、グレーゾーンに該当する金利でも受け取っていいものとされていました。まずは、5つの条件の詳細を見てみましょう。

1.貸金業として登録されている正規の業者であること
2.お金を貸すときに「貸金業規制法17条」に則った書面を交付していること
3.お金を返してもらったときに「貸金業規制法18条」に従った書類を交付していること
4.(グレーゾーンだったとしても)借りた人が「利息の支払いである」と分かった上で支払いをしていたこと
5.借りた人が任意で(グレーゾーンだったとしても)約定利息を支払ったこと

貸金業規制法17条の書類とは、業者の商号・契約年月日・貸付利率と金額・返済方式・回数・予定賠償額などが書かれた書面です。キャッシング会社と契約をすると契約書が渡されます。これが「貸金業規制法17条」に則った書面であると考えてください。

貸金業規制法18条の書類とは、商号・名称・契約年月日・貸付金額・受領金額・受領年月日などが書かれた書面です。返済日に入金すると明細が郵送されてきます。この書類が「貸金業規制法17条」に則った書面に該当します。

4と5に関しては「納得して利息を払った」という消費者の意向を示す内容です。支払いをする時点では、グレーゾーンに関する知識を持っている人はまれなはずです。

「キャッシング会社から指定されているのだからそうなのだろう」と思って返済をします。これを持って「利息水準に納得している」と判断するのは、ややこじつけに感じます。

後から考えると納得できなくとも「この利息がかかることを知っていて借りてその通りに払ったのだから返還はできない」というのが、消費者金融の言い分です。ここでも、知識がなければ相手の言い分に言い負かされてしまいます。


 

貸金業法改正によりみなし弁済制度撤廃へ

5つの条件を満たした場合はグレーゾーン金利をとってもいいとすれば、ほとんどの消費者が報われません。そこで、貸金業法改正とともにみなし弁済制度は撤廃されました。刑事罰の対象となる出資法上限金利が引き下げられ、利息制限法の上限を受け取ることはできないとされています。

法律で明確に決まったことなので、全うな消費者金融であれば、みなし弁済を主張することはありません。法律家によって正規の手段で引き直し計算を行えば、払いすぎた利息がかえってくる可能性が高いと言えます。かえってきた利息分から弁護士費用を差し引いても、プラスになるケースが多くあります。自分にも返済金があるのではと気になった方は、法律事務所の無料相談を受けてみましょう。

そもそもグレーゾーン金利とは?

最後に、そもそもグレーゾーン金利とは何かを紹介します。貸金業を規制する法律には、利息制限法と出資法の二種類があります。

利息制限法は貸付額に応じて15%~20%を利息として受け取っていいとしていました。出資法の規制は、29.2%です。出資法に違反すると刑事罰がありましたが、利息制限法にはありません。

民事上は無効でも刑罰がないため、多くの消費者金融がこのあいまいな水準で利息をとっていた時代です。利制限法以上出資法未満のグレーな金利水準を「グレーゾーン金利」と呼ばれます。

この水準で利息を払っていた人は、支払う必要がないお金を渡していたことになります。高額な借入れかつ長期に渡る返済であるほど、返還金が多くなります。実際にどれだけ過払いがあるかは、返済履歴を請求して調べないと分かりません。

ずっと昔の明細を保管している人はほとんどいないはずなので、消費者金融などの貸金業者に依頼を出して、事実確認を行います。それを正規の利息水準に引き直して計算したとき「確かに払いすぎていた」と明確な証拠が提示できると、貸金業者に返還請求を行います。


 

悪質な貸金業者の場合は、ここでみなし弁済の主張となります。話し合いで合意にいたらない場合は、裁判所へと訴えます。裁判官の判決によりみなし弁済の援用はできないとされると、実際にいくら返すかという「合意書」を作成します。

借り主のたてた法律家と貸金業社が取り交わす重要な書類です。合意書で決めた返還請求日までに入金が確認されれば、一連の交渉は終了です。

過払い請求は自分でできると言われることもありますが、法律がからむ内容なので専門家にお願いすると安心です。万が一、相手が不当な主張をした場合にも、適正な判断をしてもらえます。

個人で裁判沙汰を抱えるとなると、相当なストレスです。途中で挫折してしまっては、時間と労力の無駄になります。どうしてもコストをおさえるために自分で行いたいという方は「みなし弁済」という言葉がでてきた時点でうたがってかかること。

せっかく用意されているキャッシング利用者救済制度を活用し、今の暮らしを楽にする足がかりにしてください。

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