
2011年6月に『金貨金融』なる業者が出資法違反でつかまりました。スポーツ新聞に「ブラック可能」などと広告をうち、200人以上の人から不当に高い金利を受け取ったとされています。
違法性がはっきりした今でも、同様の手口を使う悪徳金融業者がなくなりません。折り込みチラシやポスターでお金に困っている人の心をゆさぶり、違法な取引を続けています。
「金貨金融」とはどんなものか知っていると、使ってみようとは思わないはず。悪質な手口を知ることで、自分自身を守りましょう。
年利1,000%!?超高金利の金貨金融手口を知る
金貨金融業者は、表向きには『金貨ショップ』として営業をしています。主な手口は、本当の価値より高くツケ払いで金貨を買わせるもの。利用者は、買ったと同時に換金をして現金を手に出来ます。
ツケ払いの期日が来たら返済するので、実際の価値と買った金額の差額が利息とみなすことができます。具体的な数字を出して見てみると、実際には42,000円の価値しかない金貨を65,000円で販売します。
代金の支払いは行わず、ツケ買いができるのがポイントです。金貨を手にした利用者は、別のお店で転売します。ここでは実際の価値で査定されるため、手に出来るのは42,000円。最初に買った代金の支払い期限がきたら65,000円を支払わなくてはいけないので、23,000円の利子がかかる計算です。
支払い期限は、1週間ないし1ヶ月と設定されるケースがほとんどです。パーセンテージに引き直して計算すると、年利1,000%から2,000%という常識をかけはなれた高金利になることも。
消費者金融のキャッシングや銀行カードローンとは比べものになりません。明らかに違法な水準です。これは、とうてい全うな貸金業者が運営しているとは考えられないレベルの手口。悪質な集団が運営していることがすぐに分かってしまいます。
返済できなかった時に待っている恐ろしいペナルティ
さらに恐ろしいのは、ツケ買いの期日になっても返済できなかったとき。借りた人の名義で銀行口座を開かせて、カード類をだまし取る被害もでています。
だましとられた口座が悪用されると、自分にまで被害が及びます。「犯罪に自分は関係ない」と言い張っても、警察からマークされてしまうことも。
公的機関から何度も電話がかかってくると、それだけで憂鬱な気分になります。口座売買に該当すると受け取られると、罰金刑を受けることもあるようです。
口座を作った金融機関と取引できなくなることも将来的には大きな打撃。カードローンや住宅ローン審査はもちろんのこと、普通預金口座を作ることもできなくなってしまいます。
通常の感覚であれば、自分が渡した口座で違法な大金がやり取りされていると考えるだけで嫌な想いになるはずです。返せなかったときには反社会的なやり取りにまきこまれることもあることをきちんと認識しておきましょう。
取引が終わってもヤミ金からの勧誘は止まらない
金貨金融もヤミ金の一つです。一度取引をしてしまうと同様の業者から格好のターゲットにされてしまいます。
同じ業者から勧誘がくるにとどまらず、複数の金融業者から連絡がくることも。たとえ断ったとしても、すぐに勧誘が止まるわけではありません。「今はお金が必要ない」と言ったところですぐにひいてくれる相手ではありません。
脅しにちかい言葉をかけられてはじめて相手が違法業者であると確信する方もいます。無理矢理高金利でお金を貸しつけ、返せなくなったら別の業者を紹介するという悪循環。
通常金利にプラスして紹介料を要求されることもあります。その場をなんとか乗り切っても、負の連鎖から抜け出せなくなってしまうのがこわいところ。不当な水準の利息を返すためだけに金策に走る「自転車操業」になってしまうと、なかなか終わりは見えません。
「誰にでも貸します」「ブラックでも大丈夫」「簡単・すぐに融資します」など魅力的な誘い文句の後ろには、こわい悪徳金融業者の実態があるということ。
誰でも飛びつきたくなるような甘い誘いにのらないように、気を引き締めて生活する必要がありそうです。
金貨金融を使ってしまった場合はプロに相談
悪質な業者と気付かずに金貨金融を使ってしまった場合には、司法書士や弁護士に相談します。違法な利息や取り立て行為には、法の力を持って対抗するより他ありません。
生半可な知識を持つ素人が自分で対処しようとしたところで余計にストレスがたまる一方です。法律事務所に相談した後の流れを大まかに見てみると、まずは無料のカウンセリングからはじまります。
解決方法やメリット・デメリットを聞いた上で納得できる話しなら、受任契約をむすんで下さい。契約をした後の交渉ごとは、法律家に一任可能。取り立ての電話や郵便物が届いても、自分からアクションを起こす必要がなくなります。
きちんと話しがまとまると、返済義務がなくなることも。違法な金融業者と行った取引は無効と判断できるためです。
弁護士や司法書士事務所の中には、成功報酬で料金を決めているところもあります。依頼するかどうかは別にして、まずは無料相談だけでもお願いしてみてはいかがでしょうか。
金貨金融以外にも、ヤミ金にはいろいろな手口があります。一つの手法でつかまったらすぐに違う手法をはじめるので「こんなことに気をつければ大丈夫」という明確な方針をたてることはできません。
こわい人たちと関わりを持ちたくないのなら、怪しげな誘いにはのらないこと。お金を借りるなら銀行や大手消費者金融とかたく心に込めましょう。
正規の貸金業者から借金ができないような状況なら、現金だけで生活する手段を考えるのが賢明。ケガや病気で働けない場合には、公的な支援に頼る手もあります。
法の抜け道を利用するより、全うな方法でつつましく生活していくほうが心おだやか。軽率な判断で自分を苦しめることだけはないようにしてください。