自己破産の方法・手順


自己破産の方法・手順
借金がどうにもならなくなると、自己破産を検討します。最低限のものを残した資産を全て手放さなくてはいけない反面、免責で借金の取り立てから解放されます。

全てをなくしてもゼロからスタートしたい方に残された救いの手とも言えるでしょう。自己破産の方法と手順を紹介しますが、本当にどうしようもならない時に使う最後の手段と考えてください。

借金から解放されて再スタートしたい。自己破産の方法と手順

早速ですが、書類の準備から裁判所に行き免責されるまでの流れを見てみましょう。

1.必要書類の準備

最寄りの裁判所に連絡をして、自己破産手続きに必要な書類を聞きます。必要になる書類の例としては、破産申立書・免責申立書・陳述書・債権者名簿・資産(財産)目録・住民票・預金通帳のコピー・不動産登記簿謄本など。

給与明細や源泉徴収票・年金受給証明書・公的助成金に関する書面など、収入状況を示す添付書類が必要になるケースもあります。

記載に手間取る可能性があるのは「陳述書」です。借金を重ねてしまった理由や現在の生活状況を記載します。免責許可がおりるかどうかの別れ目になる書類なので、よく考えながら書きましょう。

2.自己破産の申し立て

用意した書類を提出すると、裁判所の調査が始まります。必要事項の確認に1ヶ月から2ヶ月かかるのが通常です。確認を進めている最中でも、申し立てをした時点で、銀行や消費者金融などの貸金業者からの請求はとまります。

とりあえず取り立てに怯えることがなくなるので、焦る気持ちをおさえて調査結果の郵便が届くのを待ってください。一部の地域では、即日面接が行われることもあります。裁判所によって異なるので、手続きにかかる時間を調べておくと安心です。

参考:https://tantaka.co.jp/saimuseiri/archives/111

3.審問

指定された日に裁判所に出向き、申告内容に間違いがないことを確認されます。裁判所に入ったら、名前が呼ばれるまで待合室で待機します。

審問では、陳述書の内容が読み上げられて、免責不許可事由に該当しないか聞かれます。書類でいい加減な内容を書いてしまうとつじつまがあわなくなるので気をつけましょう。

4.破産宣告・破産管財人の選任

提出書類と審問の内容をふまえて問題なければ、破産宣告が届きます。お金に変えることができる財産がある場合は、破産管財人が選任されて手続きをします。

自分で任意の人を選べるわけではなく、裁判所により選出された人の指示に従います。破産宣告を受けた段階から、財産は自分のものではなくなります。勝手に売りに出したり処分したりすることはできません。

5.債権者集会・債権の確定・免責申し立て

会社の破産の場合は債権者を集めて、意見陳述をする場所が設けられます。個人の破産だと、一般の金融会社の関係者は来ないのが通常です。裁判官・破産管財人・申立人の3者だけで行われます。弁護士に手続きをお願いしている場合は、代理人として同席をお願いします。

破産しようとしている本人に間違いがないか・破産管財人が免責に対する意見がある場合はその旨を聞かれるだけで、特別な準備はいりません。残った現金があれば、債権者に配分されます。

免責申し立てを行えば、手続きは全て終わりです。借金を支払う必要はなくなり、破産者としての生活がスタートします。

一連の手続きを行うのに数ヶ月はかかると考えてください。借りたお金を帳消しにすることになる重要な判断なので、その場ですぐに終わりとはなりません。書類を不備なくそろえることでさえ、自分だけで行うのはかなり大変な作業です。

可能であれば、借金問題を扱う弁護士に依頼するとスムーズに進みます。数十万円のコストにはなりますが、人生を大きく左右する軽視できない作業です。相談できる相手がいるだけでも心強いので、カウンセリングだけでも受けておくことをおすすめします。

参考:https://saimuseiri-chikara.net/archives/22

自己破産に関してよくある疑問と回答

いざ自己破産しようとしても、いろいろなデメリットが気になって踏み切れない方もいるはずです。自己破産に関して、ありがちな質問と回答をピックアップしてまとめてみました。手続きに進む前に、一通り目を通しておきましょう。

自己破産をすると戸籍に残る?

自己破産をしたときに記載されるのは「官報」と「破産者リスト」です。クレジットカードやキャッシングを申し込むときに参照する信用情報にも記載されます。戸籍に残ることはないので心配はいりません。

選挙権がなくなってしまう?

これは全く信憑性のない噂です。自己破産をしたからと言って、選挙権がなくなることはありません。

海外旅行に行けなくなる?

自己破産申請をしてから一定期間は海外渡航を制限されますが、免責が決まった後は自由です。お金がたまって生活が落ち着いてきたら、海外旅行を楽しむことも可能になります。

年金がストップする?

自己破産と年金受給権とは、関係がありません。受給資格さえあれば、自己破産後も年金が支給されます。

税金を滞納しているのですが?

固定資産税や住民税などの公的な請求権は免責の対象から外れます。キャッシングの支払い義務がなくなったとしても、税金の支払いを免れることはできません。

他に免責されない支払いとしては、悪意を持って行った不法行為の支払いです。たとえば、DVで離婚にいたった慰謝料が免責されることはありません。交通事故の場合は、故意に相手を傷つけたものは免責対象外・過失による賠償は免責となります。


 

必要な家具まで一切失う?

高価な家具や自動車は処分の対象になりますが、最低限の生活を維持するために必要な家財は残せます。賃貸物件に住んでいる場合は、そのまま同じところに住み続けることも可能です。

細かな心配事がある場合は、市区町村の福祉課や国民センターで相談できます。随時開催される無料相談を利用して、本当に自己破産が必要かアドバイスをもらってください。

破産しなくとも他の方法で何とかできる可能性がある場合は、再建計画の相談にも応じてくれます。

破産しないで乗り切ることができるなら、できる限り踏ん張りましょう。お金に関する相談は、なるべく早く行うにこしたことはありません。

少し危ないと気付いた時点で相談して、取り返しのつかいない事態に陥る前に打開策を考えましょう。

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