生命保険キャッシング(契約者貸付)の特徴と利用方法


生命保険キャッシング(契約者貸付)の特徴と利用方法
貯蓄型の生命保険をかけていると、一時的にお金を借りられます。契約者貸付というシステムで、俗に「生命保険キャッシング」とも呼ばれるものです。上手に活用すれば、保険契約をそのままにして、お金を借りることができます。家計が苦しくて契約解除を考えているなら、ご一読頂ければと思います。


 

解約返戻金の一部を借りる契約者貸付制度

契約者貸付制度とは、満期になったときに返ってくる解約返戻金のうち何割かを一時的に貸してくれるシステムです。たとえば、以下のような保険をかけている方に、契約者貸付制度を使える可能性があります。

終身保険・養老保険・個人年金保険・学資保険

いわゆる「貯蓄性がある保険」と呼ばれるものが該当します。解約払戻金がない医療保険や定期保険では、契約者貸付を受けられません。自分が加入しているものが該当するか気になる方は、保険会社に問い合わせましょう。

契約者貸付は保険契約者自身しか受けられない

契約者貸付の大きな特徴は、保険契約者しか使えないこと。保険の対象になっている被保険者や保険の受取人は、利用することができません。

たとえば、学資保険を子どもにかけている場合、貸付制度を使えるのは、契約して保険料を支払っている親だけです。具体的に使える金額は、依頼時点で積み立てた解約返戻金の範囲内です。契約から日が浅い場合は、微々たる金額しか使えません。


 

消費者金融・銀行と比較して有利な条件になりやすい

解約返戻金のうち何割を借りることができるのか・利息はどれほどになるのかは、会社の規定によって異なってきます。平均的な利息の目安となるのは、3%~6%。消費者金融や銀行のキャッシングと比較すると、随分有利な条件で借りられる見込みがあります。

返済期間も決まっていないことがほとんどで。契約期間内ならいつでもお金を返せます。保険商品のシステムは、各社それぞれ異なります。利用してみたいと感じた方は、下調べを進めてください。

契約者貸付の利用方法と申し込み手順

そんなに便利な制度があるなら使ってみたいと感じた方のために、申し込み方法と手順概要を紹介します。第一生命のシステムを例にあげますが、他の保険会社も大体は同じです。利用開始手段の一例として、目を通してみてください。

書類をもらって手続きする方法

事前準備としては、契約者貸付のもとになる保険の「保険証券」を探します。保険証書とも呼ばれるもので、契約したときに受け取っているはずです。

証書が用意できたら、コンタクトセンターに電話しましょう。電話で貸付を使いたい意向を伝えると、必要な書類を教えてくれます。書類の例をあげると、以下の通り。

・契約者貸付制度申込書
・契約者貸付請求書
・運転免許証やパスポートは必要な場合のみ

各書類を郵送で受けとり提出、連絡がくるまで待ってください。郵送する手間はかかりますが、ネット経由の取引では安心できない方に適しています。

書類の受け取りを、店頭に出向き行うことも可能。実際にどうやってお金が振り込まれるのか・返済方法など、分からないことは何でも相談してみて下さい。

フリーダイヤルから手続きする方法

フリーダイヤル経由の場合も、保険証書は必要です。コールセンターに電話をすると、音声ダイヤルが流れます。

アナウンスの指示に従って操作を進めれば大丈夫です。保険料払込口座以外の場所にお金を入れてほしいなら、あわせて通帳を用意しておくこと。手続きが全て終わると「第一生命カードご利用明細」が郵送されます。

ネット経由で手続きする方法

第一生命の保険をすると「生涯設計」と呼ばれるマイページが発行されます。「ご契約内容の確認・各種お手続き画面」から「インターネット振込くん」を選択、案内に従って手続きしましょう。

丁寧な案内文がでてくるので、指示に従って入力を進めるだけ。自宅で好きなときに手続きできるので、まずはマイページにログインして、内容を確認してみましょう。

郵送の場合、お金を振り込んでもらうまでに一定の時間がかかります。最低でも1週間は見ておきたいところ。今すぐお金が必要という方には、適しません。

電話やネット経由の場合は、口座の営業時間をクリアできれば、最短その日のうちに振込可能。手軽な順番にならべると「ネット > 電話 > 郵送」安心感を考慮すると「郵送 = 電話 > ネット」となります。自分に合った方法で、抜かりなく手続きを進めてください。


 

契約者貸付にはキャッシングのように審査がない

消費者金融や銀行のキャッシングでは、個人の信用力を担保としてお金を借ります。返してもらえる見込みがあるのかを確かめるため、審査が入るのが通常です。

一方、契約者貸付は、自分が積み立てたお金の一部を一時的に融通してもらう方法です。もともとは自分のお金なので、審査は必要ありません。

信用機関に記録が残ることがないので、住宅ローンやクレジットカード契約にしないのは大きなメリット。借金をした事実が残ってしまうことに抵抗を感じる方に適しています。

契約者貸付を使うときに気をつけたい注意点

契約者貸付は、メリットばかりのようですが、注意点ももちろんあります。まず、返済が滞ると保険が解約されてしまうリスクがあること。

元金と利息を足したものが、解約返戻金を上回ると警告がきます。この時点で滞納に気付き、きちんと返済できれば大丈夫です。

すぐにお金を払えないとなると、これまで積み立ててきたものが水の泡をなることもあります。将来に備えるために契約したはずが、途中で断念しては残念です。

加入するときには、ライフプランを見据えた上で、決めたはず。目の前のお金の誘惑に負けて、計画立て直しとならないようにして下さい。

もう一つ考えられるケースとしては、返済前に不幸にあってしまうこと。借りたお金を返す前に支払い事由が生じると、元金と利息を差し引いた金額の支給になります。満額を受け取った後に、返済請求をされるわけではありません。

たとえば、家族のためにと死亡保障1000万円の保険に入っていたとします。そこから30万円を借りたまま亡くなった場合は、1000万 – ( 30万 + 利息 )が支給される額になります。

相続争いを避けるために、保険に加入した方もいることでしょう。考えていた金額が残せないと、家庭調和が乱れるリスクがあります。

お金には不思議な魔力があって、兄弟・姉妹の戦いが起こることもしばしばです。自分がいなくなった後もみんなで支え合って生きてほしいと思うなら、妥当かつ平等なお金の残し方をすること。計画したお金をきちんと渡すためにも、契約者貸付で借りたお金は、なるべく早く返しましょう。

保険の商品設計は、複雑です。同じ会社の似た名前の商品でも、内容に違いがあることがよくあります。自分の場合はどうなのか気になったら、担当者に相談すること。加入のときに立ち寄ったお店があれば、現地に行って聞いてみるのも一つの手です。

契約者貸付を使うのがいいのか?銀行カードローンや消費者金融のキャッシングでお金を借りるのがいいのか?は、個人の状況によって異なります。どちらが有利でストレスが少ない方法か考えた上、納得のいく結論を出してください。

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