過払い金返還請求すると二度とキャッシングできなくなる?


過払い金返還請求すると二度とキャッシングできなくなる?
一時期よりは少なくなってきましたが、最近でも、電車やWEBサイト等で、過払い金請求の広告をよく見かけますね。

「払いすぎた利息が返ってくるかもしれません」という魅力的な言葉に誘われて、自分もと考える方もいるでしょう。過去にキャッシングを利用したことがある方なら、誰でも気になるフレーズです。

ブームとあわせて「過払い請求すると二度とキャッシングできない」といううわさが流れているのもまた実際。過払い金返還請求は本当に得するシステムなのか?気になるところです。

ここでは、過払い請求の基礎知識と注意点を紹介します。メリットだけに気をとられて手続きすると、後悔することもあります。正しい知識をもとにして、本当に自分にとって必要なのか考えてみましょう。


 

過払い金が返ってくる根拠は改正貸金業法施行

過払い金が返ってくる根拠は、改正貸金業法の施行にあります。法律が変わるタイミングで、キャッシングの金利上限が利息制限法の上限(15%~20%)に統一されました。

それ以前のキャッシングで、もっと高い利息を払っていた方は、お金を払いすぎている可能性が高いと言えます。そこで、この基準に引き戻し計算をして、差額を返してもらう試みです。

言葉にすると単純ですが、借入期間・返済方法や契約内容の影響を受けるのが実際です。全ての人が返金を受けられるわけではありません。

自分は該当するのか確かめたい方は、まず弁護士などの専門家に相談しましょう。取引明細がない場合でも、正規手段に則って請求すれば利用履歴が閲覧できます。

履歴をもとに再計算して、いくら返ってくる見込みがあるのかの見通しを出してもらいます。自分でも計算できるかのように言われることがありますが、細かなルールを把握するのはかなり大変。

対金融業者とのやり取りも、相当な労力を要します。弁護士など成功報酬で料金が決まる業者にお願いすれば、返ってきたお金からペイできる可能性が高いはず。確実に手続きを進めたいなら、信頼できる法律事務所に問い合わせましょう。


 

過払い請求しても信用情報に履歴が残らないケースもある

過払い請求という名前で呼ばれてはいますが、実際に行うことは、債務整理とほぼ同じです。2010年までは「契約見直し」として、信用情報に記載されていたのが実際です。

信用情報に記載が残ると、新規キャッシング契約に影響が出ます。請求をした会社はもちろん、他社のキャッシング申し込みも難しくなるリスクがあると、問題視されるようになりました。

これからもキャッシングを使いたい方は、過払い請求ができないことになってしまいます。他、住宅ローン契約を考えている方やクレジットカードへの影響を懸念する方も、返還請求はできません。

数年の間はキャッシング・ローンの利用をあきらめるか、泣き寝入りするかの選択を迫られます。

消費者にとってあまりにも不利益と判断した金融庁は「信用情報は支払い能力を証明するためのものなので、返還請求の記載は必要ない」との見解を示しました。

それ以降は、返還請求をすることで債務がゼロになり払いすぎた利息が返ってきた場合には、信用情報に載せない決まりになっています

請求相手の貸金業者の再利用は難しくなりますが、他の金融業社へのマイナス影響は回避できるということです。なお、まだ利用残高があって、金利の再計算をしたとしても債務が残ってしまう場合には、任意整理として扱われます

債務整理の一種とされて、ブラック情報として残ります。記録期間の5年を過ぎるまでは、キャッシングが難しい状態に。二度とキャッシングできないわけではないものの、注意すると良いでしょう。

参考:https://tantaka.co.jp/okanekariru/archives/48
 

任意整理の記録が残ることで考えられるデメリット

キャッシングの契約が難しくなることの他に、任意整理の記録が残るデメリットはあるのでしょうか。

まず考えられることは、ローン・クレジットカードも使えなくなること。消費者金融だけでなく、銀行のカードローンやクレジットカードも持てなくなります。

クレジットカードがなくても生活することはできますが、各種支払い関係をカード決済していた方はやや不便を強いられます。

分割払いもできないので、まとまったお金が手元に貯まるまでは、高額のお買い物はあきらめなくてはいけないことになります。公共料金支払いも現金決済になるので、毎月ATMに出向く手間がかかります。ネットのプロバイダー料金や保険の分割払いは、一年分を一括で払うようにお願いされることでしょう。

さらに、既存クレジットカードまでもが解約されてしまうリスクがあります。任意整理では、対象にする債務・しない債務を自分で選択できます。たとえば、アコムのキャッシングとセゾンカードを使っていたとします。

アコムの利用分だけを整理対象とした場合、セゾンカードは無関係。任意整理が終わった後も、利用できる可能性はあります。ただし、クレジットカード会社は、定期的に与信情報の確認をします。

その際に任意整理した事実が伝われば、解約になる可能性が高いと言わざるを得ません。つまり、即座に解約されるわけではないものの、少しタイムラグがあってから使えなくなるということ。

この段階では、ブラック情報ができて新規契約できない状況なので、クレジットカードを使う手だてを失います。

どのタイミングで与信確認を行うかは、会社によって異なってきます。数ヶ月に一度行う所もあれば、更新のタイミングまで先延ばしする所もあります。

任意整理をした後にクレジットカードを失うまで、どれくらいタイムラグが生じるかは運次第というのが実際のところ。過度な期待はしないで、クレジットカードなしで生活する覚悟を決めるのが先決です。

こわいことばかりを書いてきましたが、支払いが終わっている方の場合は、得するケースもたくさんあります。

いきなり業者に相談するのが不安なら、市役所や消費者センターで聞いてみること。必要に応じて、依頼先を紹介してもらえることもあります。

小規模で経営している司法書士事務所の中には、不当に高い手数料を請求してくることもあります。手元にお金が戻ってきた事実だけで満足しないで、正当な報酬になっているかを見るべきです。

まずは、過払い請求するかどうかを決めること。その上で、信頼できる依頼先を決めましょう。

繰り返しになりますが、返還請求したからといって、キャッシングが二度とできなくなるわけではありません。返してもらえるお金はきっちり返還してもらい、生計を立て直す手助けとしてください。

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